従来は都内に分散していたその各社が、2010年5月、現在の千代田区平河町のオフィスビルに集結。フリーアドレスによるオフィス共有、各種備品や会議室の共有を前提とした拠点およびリソースの集約が行われた。その目的は、グループとしてのコスト削減、業務の効率化にある。
さて、そこで問題になるのが、グループ会社間での情報共有。全員で使える最適情報ポータルを求めての試行錯誤が始まったのである。
共通ポータルとしてPOWER EGG2.0を導入し、
複数グループ事業体の統合一元化を推進。
2010年5月、都内に分散していた複数のグループ事業体が1つのオフィスビルに集約。経営の統合一元化が実施された。
各社、業種はいずれもIT関連の専門企業である。そして、情報共有のための共通基盤として、ITのプロたちに選び抜かれた新たなグループ共通ポータル、それがPOWER EGG2.0であった。
◆従来は各社各様のポータルを使用
複数のグループ会社が経営統合する時の目的として、コスト削減や業務効率化によって業務変革を遂げるため、ということがよく言われる。その際、各社の情報システムに関しても「IT資産の有効活用/ITシステムの集約、統合」などが検討される。人事・会計・給与など、あるいは販売管理などの業務システムの検討が行われるが、当然検討対象の1つとしてグループウェアなどの情報ポータルが上げられる。
元々グループ内のエー・アンド・アイシステムでは、「KIZUKI」というブランドでポータルサイトを製品化して販売していた。この「KIZUKI」には、ワークフローも搭載されていた。またその他の各グループ会社もインスイートやサイボウズなど、各社各様の情報ポータルを活用していた。だからポータルを活用することについては、みんな馴れていた。
問題は各社各様のポータルを使っていたことである。
そのため、例えば経営統合を発表した際に、社内へ情報発信して行く手段としての決められたシステムがなかった。最初は各社・子会社までそれぞれに情報発信していたが、これはいくらなんでも面倒くさい。社内ポータルサイト(「Win Room」と名付けられた別サイト)は作ったがあまり運用にはそぐわない。やはり統合ポータルが必要である。
◆統合ポータルは連携のために不可欠
グループ統合するということは、営業面での連携を強化することでもある。しかし、そのための日常的な動きとして、各社各担当のスケジュール調整が必要になる。ところがこれがもう、大変至難の事態となった。互いのスケジュールを合わせるのに、電話連絡やメールのやりとりで四苦八苦。もちろん、各社にはグループウェアが導入されているのだが、別々のグループウェアを利用しているので、簡単にスケジュール登録はできない。各社それぞれのグループウェアに別々に登録しなければならなく非常に手間のかかる作業だった。この点でも統合ポータルの必要性が生じたのだ。
このほかにも、各社の規程集などがバラバラにファイル管理されている。ファイルが異なるから、必要な規程を探すのも容易ではない。
もっと基本的な問題も生じた。「情報共有」の問題である。共通の情報を配信したいのに、各社のポータルに別々に情報を上げなくてはならない。これは情報配信する立場の人に大きな負担がかかる。情報共有の共通基盤として統合ポータルがあれば、この点も解決すると思われた。
◆どのポータルも帯に短し襷(たすき)に長し
せっかく会社統合したんだから、新しい統合ポータルを入れようという機運が生じたのは、2009年夏頃のこと。経営レベルの観点から、全グループ共通の統合ポータルがあれば、情報共有・利活用や業務効率化が一層促されると考えられたからである。
そこで様々なポータルが検討されることになった。
当時グループ各社ごとに利用されていたポータルは以下のようなものであった。
KIZUKIは、今後グループ共通のワークフロー機能のみを継続利用することとし、基本ポータルに関してはリプレイスする方針とした。
サイボウズガルーンは、費用面も安いし導入も簡単だが、ただグループ企業向けの統合情報ポータルとしては機能面で少々もの足りない、という評価であった。
またインスイートに関しては、導入時の基本設計や資料作成に想定以上の費用を要し、グループウェアの導入にそこまでの予算はかけられない。
つまりどのポータルも、要求を満たせない中で浮上したのが、POWER EGG2.0 である。POWER EGG2.0については、実は2年ほど前から、あるベンダーを通じて営業説明を受けていた。
◆まず持ち株会社(ラックホールディングス)でPOWER EGG2.0 を先行導入
そうこうしているうちにグループ会社の数が増えてきた。だから統合ポータルの必要性は切迫した課題となってきた。
こうした様々な統合ポータルへの要望に対し、評価平均点が最も高かったのがPOWER EGG2.0 であった。そこでまず、2009年11月、ラックホールディングスからPOWER EGG2.0 の先行導入(約300LS)が行われた。
◆グループ会社のオフィス集結が追い風に
ラックホールディングスで先行導入したとはいえ、各社の社員にとっては、とくに新しいポータルを必要とする機運はまだ生まれていなかった。「別に、各事業会社ごとに使い慣れた、いままでのでいいじゃないのか?」「あえて同じものにするメリットがあるの?」というのが、大半の社員の意見だった。
こうして2010年5月1,200LS、さらにその後300LSが追加され、2010年10月時点で約1,800LSが導入され、アカウントのある社員は約1,500人ぐらいになっている。
◆情報共有のための共通グループウェアとして活用
では、同社グループではPOWER EGG2.0 がどのように活用されているのだろうか?


◆POWER EGG2.0 の具体的活用
まずみんなが使うのがスケジューラである。各社間をまたいでスケジュール調整でき、空き時間検索ができる。サイボウズにあったバナー機能(帯状スケジュール)とか、繰り返し機能とか、従来使っていたスケジューラの便利な点も、もちろん利用でき、必要な機能を無駄なく、取り入れたスケジューラになっている。電話やメールだと大変だったスケジュール調整がスムーズに行き、一気に段取りが組め、抜群に効率的な連携プレーを生んでいる。
スケジューラは経営陣の評判も良い。というのは同社には、けっこう各社兼務役員がいるが、彼らにとって「スケジュールを一元的に閲覧できる」ことが、自分のスケジュール管理を効率的にしているからだ。
掲示板は各社の情報受発信・情報共有の場となっている。スタッフ系から発信される事務的な情報、経営情報、社内の営業情報、スケジュール情報、設備・備品情報などが事業会社をまたいで共有されている。
社員たちはこの掲示板を見て、届いた新着メッセージに気づき、チェックして、そこから直接必要な情報にリンクして処理を行っている。
ファイル管理は、いわばそこが「資料室」となっている。一種のファイルサーバとしてPOWER EGG2.0 が機能し、グループ会社の規程、マニュアル、手順書などが全部入っている。履歴管理もでき、原則、全社員が必要に応じて見ることができる。このように資料が一元化されることで、各社各様の規程がバラバラに存在することはなくなった。
ワークフローは、実はPOWER EGG2.0 のものが用いられているわけではない。KIZUKIのワークフローがそのまま使われている。
しかし、そのKIZUKIのワークフローを使うためにはPOWER EGG 2.0 から入ることになる。ナビビュー画面左下にKIZUKIとリンクする画面があり、シングルサインオンでそこをクリックすることでKIZUKI画面へリンクする。このような柔軟さも、POWER EGG 2.0 が評価されている点である。

さて、2010年10月で本格稼働して半年弱になるPOWER EGG2.0 だが、社内の評価はどうだろうか?
1)ストレスがない。
ここがすごいというわけではないが、全くストレスを感じさせない所がPOWER EGG2.0 の良いところだと、犬塚氏は言う。 事業会社をまたいで使う、ということで予想されたストレスは皆無だと言う話だ。
2)操作性が良い。
リテラシーを問わずに誰でも操作できる点も評価されている。導入時教育も、シングルサインオン設定のためのマニュアルが配られただけで、特段これといった教育なしに稼働がスタートしている。
3)モバイルアクセスが可能である。
携帯電話からポータルにアクセスできること。実はこれが新ポータル選択に際しての必須要件の1つであった。外に出る機会が多い営業マンにとっては、携帯電話は不可欠のビジネスデバイスである。だからポータルに携帯電話からアクセスできないと実用的に意味がない。
POWER EGG2.0には、標準でモバイルアクセス機能が装備されている。そのためオプション製品等を購入することなく、携帯電話からPOWER EGG2.0上の「新着情報」や「スケジュール」等を確認することができた。
POWER EGG2.0では、さらに今後もスマートフォン対応等の充実が図られていく。だから、この点でも同社は適切なポータルを選ぶことができたと言えるだろう。
4)移行もスムーズ、メンテもラクに。
導入時のデータ移行は、手作業によるテキストのコピー&ペーストで行われた。方法を説明し、各社から要員を出してもらって作業が行われた。約1カ月間の移行期間だったが、その間、従来システムのサービスを止めることはなく、スムーズに移行が行われた。
情報システム担当が行ったのは、最初の組織マスタ、社員マスタ、ルート情報の作成である。異動時のメンテはいままでもやっていたので負荷は感じないし、各事業会社別にメンテしたことから考えれば随分ラクになったと言う。